2015年11月20日金曜日

『花燃ゆ』の松陰の短刀が新井領一郎に渡されるシーン、『絹と武士』にようやく現われる

ハル・松方・ライシャワーさんの本『絹と武士』に大河ドラマ『花燃ゆ』での一場面、吉田松陰の短刀が新井領一郎に渡されるシーンの話がようやく出てきました。
◆兄と弟が揖取(かとり)県令夫妻を訪ねると、いったん座をはずした夫人は紫色のプロケード(錦)に包まれた何か細長いものを持って部屋に戻って来た。夫人は領一郎の前に膝をつき、それを彼の前に置いた。包みが開かれると、中から美しい短刀が現れた。これは夫人の亡くなった兄、吉田松陰(一八三〇~一八五九)の形身の品だという。(p226)
◆領一郎は揖取(かとり)夫人の贈物に驚いた。しかし、彼女はこの品には兄の魂がこめられているのです、その魂は、兄の夢であった太平洋を越えることによってのみ、安らかに眠ることができるのです、と語った。領一郎はうやうやしく刀を拝受し、信頼に値する人間になることを誓った。(227)
◆私が大学の休暇でコネティカット州グレニッチに住む祖母を訪ねたとき、祖母はその短刀を私に見せてくれた。それは十五、六世紀に作られたもので、国富(くにとみ)という銘が入った美しいものであった。長さおよそ三十五センチぐらいで、鞘は金細工を施された漆塗りであった。その短刀は現在カリフォルニアに住む私の従兄、新井領に受け継がれている。(227)
こうして、アメリカに渡ろうと米艦に乗り込んで密出国を企てたが捕えられた松陰の願いがここでようやく結実したわけですね。
刀には魂が宿るといいますからね。
これが実話なのですから、なんともすばらしいお話ですわ。
有り難いことです。
ありがとうございます。

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